「生活空間としての美術館」、
「オープンシステムとしての美術館」、
「公園美術館としての美術館」。

都内でも緑の多さやキレイさで有名な砧公園に位置する
世田谷美術館(セタビ)だからこそできる展覧会か。

公式ホームページでは、今回の、この前例のない展示会に際し
こんなメッセージを寄せている。

『私たちは、これまでに経験したことのない大厄災の時を迎えています。
社会の隅々まで影響がおよぶなかで、
世界中の美術館が、美術館本来の在り方を問い、
展覧会等々の事業を見つめなおしています。
予定していた展覧会も準備に支障が生じ、
海外から作品を借用することがむずかしくなり、
まったく将来の見通しが立てにくい状態です。
そのような現状を考慮して、
このたび「作品のない展示室」を、虚心にご覧いただくことにいたしました。
世田谷美術館は、
四季折々にさまざまな表情をみせる都立砧公園のなかに位置しています。
砧公園は、春には桜が咲きほこり、夏は大きな木陰が涼風をまねき、
秋は多彩な木々の紅葉を楽しめ、
冬には時に素晴らしい雪景色につつまれることもあります。
1986年に開館した世田谷美術館は、
建築家・内井昭蔵(1933- 2002)によって設計されました。
そして、内井昭蔵は(上記に挙げた)3つのことを、
美術館設計の上でのコンセプトとしました。』


作品がない、美術館。それも、自然を借景とした空間。
このコンセプトに、個人的には非常に興味が湧いた。
入場料、無料。
運動も兼ねて、歩いて行った私は
そのうっすら汗ばんだ体を
ひんやり包むがらんどうとした展示室が
その空間美が、想像以上に身に染みた。


内井昭蔵氏の言葉

美術とは生活空間のなかにあってはじめて生きるのではあるまいか。
美術館が美術の展示場だけであるというのは間違いである。
美術館は美術と生活との関連をとらえ、示す場でなければならないと思う。
私は生活空間化こそ、今日の公共建築に求められている点であると思う。



















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Galleries Without Artworks
作品のない展示室
@世田谷美術館
2020年7月29日(水)