東京・柴又散歩

柴又散歩
2008年4月12日

寅さんを知らないぼくでも楽しめるのかどうか。それが柴又へ向かった個人的疑問だった。団子にせんべい、売る方も買う方もこれだけ「同等」な場所も珍しいと思えるほど、言葉にすると薄っぺらいが「人情」の町だった。これだけは、確かに言える。

赤坂の溜池山王駅から乗り換えること2回、40分ほどで柴又駅に着く。フーテンの寅さんも、今や銅像となって駅前でじっと佇んでいる。旅支度の鞄をもったまま。振り返ると、駅舎がどこか真新しい。いかにも「造りました!」感を醸し出している。ちょっと残念だなと思いつつ、威勢の良い声に誘われて商店街の方へ足を向ける。バナナが3本、透明の袋に入れられて100円だった。ネギ焼きやタイ焼きの匂いがたまらない。と、もつ煮込みに焼き鳥、ビールまであるではないか!この日、久しぶりの晴天に見舞われた東京、ついつい手が伸びる。

同行者Mの興味の向くままに、駄菓子屋とおもちゃ博物館なるところへ。チェリオあり〜の、タバコチョコあり〜の。ぼく的には、プラスティックの刀セットが妙に懐かしかった。新聞紙を丸めて刀代わりにしていたぼくに、何かのプレゼントでもらった刀セット。鞘は確か安っぽい赤色だったな。売っていたのは重厚そうな黒だった。1000円もする……。時代か?

古ぼけたガチャガチャの中身は、小島よしおの「おっぱっぴー」グッズ。いい!ハードは昔のまま、ソフトが今へとシフトしているあたり、まだまだ現役!と思わせる。

小さな通りを渡り帝釈天へと向かう。

これでもか、というほどにダルマを並べている店に、エコーしかりの昔銘柄のタバコを木枠のガラスケースに入れているタバコ屋。きゅうりを棒に刺した「キュウリ棒」にもちろん団子や磯辺焼き。匂いもここまで漂えば、どれがどれだか。と、数珠に線香が隣で売られていたりして、「匂いの溢れる商店街だな」と、ますます思う。

団子を頬張る。うまかった。味は普通だけど何か特別だ。

帝釈天の前で、写真を撮っていると、絶えることのない人混みの中で、一人が撮ってあげましょうか?と声を掛けてくる。なんか懐かしい感じがするのは、ここが下町だからか?どうも、こういう声は近頃きけない。「そんなことぐらいで下町情緒なんていってんじゃないやい、バカヤロウ」と言われそうだが、そう思ったんだからしょうがない。

帝釈天。とにかく彫り物がすごい。その印象が非常に強い。残念ながら4時に閉まってしまう彫刻ギャラリーなるところには入れなかったが、本堂の龍も、正門の僧侶も猿も、素晴らしい。

同行者Mがおみくじを引き、凶だからと落ち込んでいる。「ぜったいもう一回引く」と言っているのを尻目に、ぼくは境内で行われている大道芸を見る。傘の上でマスが回っている。コップを乗せた棒を額で支えている。パチパチと拍手していると、、、2回も引いて、2回とも凶だった同行者が本気で凹んでいる。

駅前まで戻り、喫茶店に入った。ご近所さんがやって来ては店主のおばちゃんとしゃべっている。注文することもなく、何かが出され、それを食べては帰って行く。いいな、と思った。その店主の大声を聞いてると、凶がなんだ!とケラケラ笑いたくなった。

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