香港から、ロンドンまでの(南周りの)道がホットな理由は
深夜特急と猿岩石
(「深夜特急」第一章 朝の光より)
乗合いバスでロンドンまで、・・・
ほんのちょっぴり本音を吐けば、人のためにもならず、学問の進歩に役立つわけでもなく、
真実をきわめることもなく、記録を作るためのものでもなく、血湧き肉躍る冒険大活劇でも
なく、まるで何の意味もなく、誰にでも可能で、しかし、およそ酔狂な奴でなくてはしそう
にないことを、やりたかったのだ。
沢木耕太郎は、26歳で、インドのデリーからロンドンまで、乗合バスを乗り継いで
旅することを決める。日本での仕事、恋人、そういうのから離れ。一人でバックパックを背負って。スタート地点のインドまで、日本に降りたって最初に降り立った香港で、いきなりギャンブルに。結果として、香港からマレー半島も含めた大旅行記となっている。「深夜特急」は、単行本では3冊、文庫本では6冊で編成。後に、大沢たかお主演、井上陽水の主題歌でドラマ化される。
旅行記と言えば、1976年生まれの私が高校生のころ、藤原新也「印度放浪」が強烈で、五木寛之の「青年は荒野をめざす」が有名だった。
香港という響き。そしてロンドンという憧れ。その間を、陸路で。
この空想だけでホットだった。
そして、作品としてとてもホットで、映像化されて、ますます旅へと感化された。
「深夜特急1」香港/マカオ
「深夜特急2」タイ(バンコク・チュムボーン・スラタニー・ソンクラー・ハジャイ)
マレーシア(バターワース・ペナン・クアラルンプー ル・マラッカ)
シンガポール《マレー鉄道で南下》
「深夜特急3」インド(カルカッタ・パトナ・ブッダガヤ・ガヤ・ラクソール・ベナレス・デリー・カジュラホ・サマンバヤ・ボンベイ・アグ
ラ)
ネパール(カトマンズ)
「深夜特急4」インド(アムリトサル)
パキスタン(ラホール・ラワール・ピンディー・タクシラ・ペシャワール)
アフガニスタ ン(シャララバード・カブール・カンタハル・ヘラート)
イラン(メシェッド・テヘラン・シラーズ・イスファハン)
「深夜特急5」トルコ(エルズルム・トラブゾン・サムソン・アンカラ・イスタンブール・ケシャン)
ギリシア(アテネ・テラソニキ・トリポス ・スパルタ・ミケーネ・ミトラス・オリンピア)
地中海(パトラス~ブリンティジ)
「深夜特急6」イタリア(バーリ・モルフェッタ・トラーニ・バルレッタ・フォッジア・ローマ・フィレンツェ)
モナコ
フランス(ニー ス・マルセイユ・パリ)
スペイン(バルセロナ・バレンシア・マドリード・バダホス)
ポルトガル(エルヴァス・ リスボン・ザクレス)
イギリス(ロンドン)
私がこの深夜特急に出会って(高校生の頃)、大学に入るとすぐに、日本テレビの「電波少年」という番組で、猿岩石という聞いたこともないお笑い芸人のコンビが、沢木耕太郎の深夜特急にならって、香港からロンドンまで、ユーラシア大陸横断ヒッチハイクの旅に出る(半強引に)という企画が評判だった。
乗合バスとヒッチハイクという違いはあるものの、この香港からロンドンまでの陸路が、旅の路という印象は、個人的に強い(のは、高校生で深夜特急、大学に入ってすぐに猿岩石と続いたので)。
番組の企画としても面白かった。爆風スランプの応援歌もよかった。映像として楽しいだけではなく、何の飾りも、文章の上手さもなにもない、ただただ書かされた感満載の、彼らの日記が、どうも読んでいて面白いのだ。他人の日記というのは、なんでも面白いのだが、それが、ユーラシア大陸横断のヒッチハイクの旅、ならなおさら。
この香港からロンドンというルートが、私個人としても旅先には常にあった。この間のアジアの、中東の、ヨーロッパの、旅。
今、改めて、この2つの、なんとも相反する感じといい旅のスタイルと
残した文章達が、それぞれにホットだ。
猿岩石日記 Part1〜極限のアジア編
香港/中国(シェンチェン・広州・南寧 ・憑祥 )/ベトナム(ハノイ・ドンハ)ラオス/タイ(バンコク)
ミャンマー(ヤンゴン)/インド(ダンバッド・ムジャファール・ベナレス・アラハバッド・アグラ・デリー)
猿岩石日記 Part2〜怒濤のヨーロッパ編
インド(アムリツァール)/パキスタン(ラホール・ハラッパ・ムルタン・ララール・クエッタ・ダルマンジ・タフタン)
イラン(ザヘダン・ケルマン・テヘラン)/トルコ(アンカラ・アンタアリア・ボドルム・ベルガマ・イスタンブール)
ブルガリア(ソフィア・ビアラ・ブジチェン)/ルーマニア(ブカレスト・オラディア)/ハンガリー(ブダペスト)
オーストリア(ウィーン)/ドイツ(パッサウ・ビルスバーグ)/フランス(ストラスブール・ナンシー・パリ・カレー)
イギリス(ロンドン)