本社ビルの横に立てた美術館ビルで
ゴッホと東郷青児を満喫する。東京で、新宿で。その代名詞的な美術館。
開館記念展は、ベストコレクションとも言える作品が勢揃いしていた。

まず、5階へ。「四季折々の自然」から。
まずは、「桜」。岸田夏子の「桜花」と「桜華」の2作品の前でぼんやりしてしまう。
作品の持つパワーが凄まじい。奥村土牛の「朝顔」は、和だ。
山口華楊はふわふわとした質感の「猿」を描き
平山郁夫はシルクロードの途上、イスタンブールの「ブルーモスク」を妖艶に描く。
岸田劉生は、戦前の虎ノ門をカラフルに描く(「虎ノ門風景」)。

4階に降りて、今度はがらりと作風が現代に。
「FACE」グランプリの作家たち。
宇宙空間のような地球の未来を暗色で描く堤康将の「嘯く」、
女の子の目力がすさまじい川島優の「Toxic」、
そして、個人的に一番好きな宮里紘規の「WALL」。左下の「男」が
シュレッターに駆けられたようなかけらの壁を見る。
青木恵美子の「INFINITY Red」はインパクト大だ。

そして、東郷青児のチャプターへ。
まずは「超現実派の散歩」。
キャンヴァスの大きさ、月の位置、サインの場所、片方だけの靴。
どれをとっても、本当にバランスのいい作品だ。
「四重奏」は、まっすぐな線、
「バイオレット」の笑っている加減、
一転、「パラソルさせる女」「南仏風景」「髪」の三作品は
パステルじゃない深い色味に、これはこれでゾッとする。

一番というほど有名な「望郷」は、
実際にみると柔らかい色味、そして泣いているような
風が吹いて、左手の小指がグイッと曲がって。

「レダ」は透明感のある美しいヌード、
そして「火炎」「潮の香」「笛」は、
今のアニメーションの美(クール)を先行しているようでもあり。

モーリス・ユトリロはやっぱり好きだ。
「モンマルトルのミミ=パンソンの家とサクレ=クール寺院、モン=スニ通り)は、
色、形、屋根のカラフルさ、それらを総合する全体のバランス。
なんて作品だ、と嘆息する。
ポール・ゴーギャンの「アリスカンの並木道、アルル」に癒やされる。

このゴーギャンの作品、
そしてルノワールの「帽子の娘」など、
いくつか写真OKの作品もある。
写真は撮れなくても、藤田嗣治の「猫と少女」は
乳白色と目の力にグッと惹きつけられるし、
パブロ・ピカソは「抱擁」の中でカタマリの図を、
そして「バッカス」でピカソらしさを存分に発揮する。
マルク・シャガールの「よく見る夢」は、
これだけの線で、こんな世界観を出すのがさすがだし、
ジョルジェ・ルオーは6作品の連作、
「悪の華」のために版刻された14図でキリストや骸骨を淡々と見せてくれる。

最後、セザンヌの「りんごとナプキン」で写真を撮影し、
最後はルーブルでいうところのモナリザのような、
フィンセント・ゴッホのひまわり
(世界にある7作品のうちの1つ、13本のひまわりを描いた作品)が、
ガラスケースの中に収まっている。

見る。時間をかけて向き合う。
決して上手じゃないこの絵の、
なのにこんなに惹きつけられる所以。
それが何か。わからないのに、
やっぱり、一番吸い込まれる。
3階のフロアで、メインともいえるべく、やっぱり名作だと思う。






























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SOMPO Museum of Art: Commemorative Special Exhibition
珠玉のコレクション−いのちの輝き・つくる喜び
SOMPO美術館 開館記念展
@SOMPO美術館
2020年8月9日(日)