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スターフライヤー
今、世界的にみて航空会社はかなりの苦境にある。欧州各国では合併や破産が相次ぎ、アメリカ国内においても「多すぎる」航空会社が淘汰されている。スイス航空、ユナイテッド航空なんて言っても国営か破産申請かと危うい。ブリティッシュ・エアーウェイズとエール・フランス、ルフトハンザだけがEU圏内で航空会社として残り、その他はそれぞれに組み込まれるのではないかという話もある。アジアに目を向けても、格安航空券と石油の高騰で、アップアップ。航空機製造メーカーの2大巨頭、エアバスとボーイングはそれぞれに用途を異にした新機種を発表し、「元気」のある航空会社に売り込みをかけている。な、業界枠組みのなかで、日本はどうか。
もともと、JALが一番、ANAが二番。JASっていう会社もあったっけ、的な構図のなかで長いこと運営してきたが、国際線=JAL、国内線=JASのいいとこどりを狙ってJALとJASが合併。内部でのゴタゴタが表面化して新生JALグループはボロボロ。その隙をねらってANAがパワーアップ。
飛行機っていうのは「こういうもの」という概念をJALとANAでつくってしまった。それは値段やサービスにおいて。そこに待った!をかけたのがスカイマークとエアー・ドゥ。新規参入の航空会社としてガンジガラメの柵のなかで奮闘してきた。が、残念なことに結局大手との違いは「値段」のみで、安くするための努力ばかりに目を向けた。リースの機体、人件費を極力省いたバスのような移動手段。それがスカイマークに対して思うところだ。
スターフライヤー。これは、そんな新規参入航空会社として久しぶりに登場する航空会社。安いことばかりに目がいきがちな概念を、この会社のコンセプトは根本から変える。
2006年3月16日、北九州空港の開港にあわせて羽田ー北九州間に就航。(公式ホームページはこちら)
まず、注目すべきは機体のデザイン。漆黒でスタイリッシュ。丹下健三・都市・建築設計研究所などを経て、「PINO」などのロボットデザインで知られるデザイナー、松井龍哉がトータルにブランドコンセプト(デザイン)を担当。空の旅をデザインから満足させるという。シートもフライトアテンダントのユニホーム、ロゴデザインからグッズまで。どの飛行機こ乗っても違うのは値段ぐらいで、下手したら「あれ?JALやっけ、ANAやっけ」みたいな「シャトル便」になりさがった各社の「イロ」。そこに一線を画して「スターフライヤー」という航空会社の強さを生みだそうとしていることに、かなり期待できる。就航路線がメジャー(東京・大阪間など)ではないところも、これまでの新規参入航空会社とは考え方が違うな、と感心する。
※エミレーツ以来、久しぶりに値段を気にせず乗ってみたいな、と思う航空会社の登場に、個人的にうれしい気持ちでいっぱいです。