08年暮れ、年越し派遣村を主催したNPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」の代表理事、稲葉剛さんの言葉。(朝日新聞より)

フランス人記者の質問「日本では失業すると、なぜ家を失うのか」
稲葉さん「公的なセーフティーネットが弱い滑り台社会だから」と。
「公営住宅は安全網と言いながら網ではない。運のいい人しかつかめないクモの糸のようなものだ」と。

不景気の中で、失業する。そして、家を失う。その連鎖を食い止めるべく、欧州では家賃補助制度があるという。その制度を日本でも、という記事の中で見つけた「滑り台社会」という言葉が気になった。


階段を一段ずつ上がるには、教育費、接待費、我慢にストレスにと「苦労」がいる。
その階段を登って行き着いた先が滑り台では困る。
後ろから押されてか、強風が吹いてか知らないが、滑り落ちると、また階段を上らないと行けない。
とても小さな滑り台のてっぺん。そこにしがみつくしかないのか?
と考えると気分は沈む。
下を向いてしまう。

と、余計に「滑り落ちる」可能性が増してしまう。


そんな社会なのかな、日本って。とまで思ってしまう。

今の時代、滑り落ちる人を下で受け止めて
また「階段」を登ろうと思えるだけのパワーの「補助」が必要で

フランスでは全世帯の23%、イギリスでは18%が受けているという家賃補助も確かに一つの形だ。


滑って楽しいのは
また登れる元気があるからで

滑ってもいいのは
そういう社会だけだ、と思うのだが。


2010.11.28記