大相撲


小学校から帰った僕は、夕方6時前、あれしろこれしろとウルサイ母親の後ろでテレビにかじりついていた。
千代の富士vs双羽黒。
ドキドキしながら見てたな。黒いまわしに凛々しいあの表情。「山のよう」ではなく「岩のような」横綱、千代の富士。
好きだった。小錦の突っ張りを受けながらもまわしにかけた手を絶対に離さなかった取り組みも印象深い。
「体力の限界」。
あの引退会見のコトバは、巨人軍は永久に不滅です、なんてものより僕にとってはずっしりと重い。
その後にやってきた若貴ブームには正直乗り切れなかったが、が、が、今、あえて大相撲がホット。
モンゴルにロシアにブルガリア。外国人力士が土俵の内でも外でも大暴れで、まぁそんなことはマスコミの格好
のネタというだけのこと、生で見る取り組みは、激しく、熱く、素晴らしい。ついつい興奮しては座布団も投げてしまう。
そんなすごい取り組みが生で見られる、つまりチケットが取りやすい今の時期が絶好のチャンスだと、僕は思う。
相撲協会は人気低迷に焦って、これでもかという程に朝青龍をテレビに出演させるが、どうも違う。
そういうことではない。そもそも、ど平日の昼間に行う以上、それも、こんなスピーディな時代、野球でさえサッカー
に比べて試合展開が遅いので云々という中、大相撲の、あの時間的優雅な取り組みを、毎日毎日、満員御礼に
なるわけはない。
時代の話で言えば、今のような興行スタイルは相撲好きの信長が始めたと言われるが、その歴史たるや平安時代
なんてとっくにすぎて、「出雲の神々????」なんて神話的大昔にまでさかのぼる。
だから余計に日本の、日本のと、伝統にうるさい。が、僕は単純に、相撲の、あのシンプルでいて奥深い、
「のこった」までのじれったさが、たまらなくいい。

だから、もいっかい言う、今、あえて大相撲がホットだ。