天気が良い日の生田緑地は、これでもか、というほどに気持ちがいい。特に休日になると、家族連れやカップルが楽しい雰囲気を醸し出す。その中にある「岡本太郎美術館」。太郎が晩年暮らしていた青山の家は、記念館という形で残っている。そちらには何度も足を運んだが、こちらは初めて。この日、夏休みということもあり、子供たちがアートで遊ぶという展覧会を開催していた。
大きく常設展のスペースと企画展のスペースが別れており、ここでは「常設展」をしっかりと堪能するだけでも価値ありだ。(庭にある『母の塔』をみるだけでも価値ありだが。こちらは無料で見られるので、そういう意味では、大阪の万博公園の『太陽の塔』よりも良心的)。さて、常設展。巴里での太郎の作品を中心に展開している。芸術は爆発だ。キャンバスからはみ出せ。そんな風に、型にはまらない勢いある造形とは逆の、繊細な「絵」が並ぶのが最初。黒の中に白と赤。まるで丹頂鶴のような美しさ『空間』。そこからは一気にカラフルになる。色がとにかく鮮やか。『重工業』や『森の掟』は、何度見ても素晴らしい。作品の中央を切り裂くジッパー。そのシンボリックなものを、これだけも鮮やかに収めてしまう不可思議。ここでの初対面となった『記念撮影』は、驚きだった。これだけ丸が多用されているのに、四角いキャンバスにしっかりとハマルバランス。手の平の顔達が新鮮だった。東京オリンピックのマラソンを見て書いた『マラソン』こそ、丸い太郎の代表作か。木版をはって横細長の連作、『太陽と月』『赤』などが飾られた部屋には太郎の椅子が並ぶ。そこでは自由に座って、撮影が出来る。フォトジェニックな美術館の、これははしりか?
常設展から企画展へ。遊ぶ字に色を塗る、というありきたりなものから、匂いを感じる体験(これは面白かった)、音を奏でる体感。美術館の中で、こんなことしていいの?と思えることを体験することが、子供たちにも刺激になるだろう。


川崎市岡本太郎美術館
「岡本太郎と遊ぶ」展 PLAY with TARO
TARO OKAMOTO MUSEUM of ART,KAWASAKI

生田緑地(神奈川県・川崎市)
2017年9月2日(土)

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