吉祥寺・TERATOTERA祭り
@東京・吉祥寺
2011年10月29日
東日本大震災のあった今年、各地で自粛が続く中、「震災復興」と「東京をアートで元気に」という二つのスローガンのもと、吉祥寺駅周辺を舞台に開催された大規模な展覧会。東京から福島を発信する「TOKYO-FUKUSHIMA!」も実施された。
10月の気候のいい10日間、現代アート、映像、音楽、ダンス、シンポジウムなど多彩な表現で発信された。(フライヤーより)
武蔵野公会堂でのライブやシンポジウム、吉祥寺バウスサターでの映像やライブは有料だが、基本的にアートはパブリックアートなので無料。井の頭公園での大凧やオーケストラも話題だった。
で、ぼくはテーマでもある復興にからめて、このエリアの防災情報が併記されたイベントマップを見ながら歩く。
ハモニカ横丁。
マップにはAED設置場所があることが示されている。入り組んだ路地、昭和レトロの中にモダンなイタリアン、なんというか立ち食いイタ飯みたいな、そんな雰囲気だ。昼間だったのでランチ客が中心だったが夜は面白そうだ。ハモニカキッチンの屋上の方を見上げるが、志村信裕氏の「赤い靴」は見えなかった。前にある不二家のロールケーキがやたら美味しそうだった。
そして、第二次緊急交通路である吉祥寺通りに面してある吉祥寺PARCO。その屋上には多数の現代アートがある。メイン会場を持たないこの展覧会では、ここが一番規模が大きい。まず目に飛び込んでくるのが遠藤一郎氏の「未来へ」という作品。その奥の青空がよかった。
有賀慎吾氏の黄色いテントを見て、風にゆれる「バタバタするTシャツ」(タムラサトル氏)の前でしばしぼんやりする。風が強かったので、バタバタ、と書かれたカラフルなTシャツが、竿ごとぐるんぐるん回転している。面白い作品だな、と思った。僕自身、洗濯物が風になびいている様は美しいな、と思う1人なので、それがこんな形でアートになると、なんというか、すごいな、とさえ思ってしまう。
他にもSONTONの「吉祥寺ガッパ」はユーモラスで、ガチャガチャのケースが太陽と青空に映えて美しかったし、「孤独のヒーロー」(村田峰紀氏)はなんだか熱い。なすびときゅうりがぐるぐる回る「黎明」(利部志穂氏)は、なんだかオモシロイ。とにかく屋上という場所とこの日の天候がとてもすばらしくマッチしていた。
そのままコピス吉祥寺に移動し、「人っていいなぁ」という大段幕をみながら、テラスでくつろぐ家族などをぼんやりみながら、吉祥寺っていう街は本当にいいところだな、とかなんとか。
武蔵野市立吉祥寺美術館のロビーに展示されている風呂敷をみながら、福島での大風呂敷の映像を見る。不名誉な地として世界に知れ渡ったFUKUSHIMAをポジティブな言葉に変えていく。そんな強い意志のもと今年8月15日に福島で開かれたフェスティバルの様子が流れている。多くの人の手で集められた膨大な風呂敷を縫い合わせて拡げた福島大風呂敷。大きな風呂敷を拡げて、そこから始めるのは「風呂敷をひろげる」という言葉の裏腹を行くのかなとか。
西友の入口浅井祐介氏の作品が描かれた柱。なんとも目を奪うタッチだ。
住みたい街No.1の吉祥寺から発信するパワー。ムーブメント。正直、静かなものだった。イベント関連が終わっていたということもあるが
日常生活が淡々と繰り広げられている様がありありといった感じだった。が、2011年という年、震災があり、原発事故があったという事実を
ここからどう活かせるか。そんな強い一歩のようにも感じた。