横浜トリエンナーレ2008
2008年10月11日

三年に一度開催される国際美術展。ヴェネチアやサンパウロなど、二年に一度開かれるビエンナーレの方が世界的には多いが、ミラノや広州といった都市でもトリエンナーレは開かれている。特徴は、絵画だけにとどまらず、音楽・映像・パフォーマンスなど「表現」する手法はなんでもありという幅広さにあるだろう。どこまでを現代アートと呼ぶのか?そんな境目を見極めながら見て歩くのも面白い。同行者Reが、ロドニー・グラハムの銅鑼に向かってポテトを投げる映像を見て「おちょくられてる気がする」と呟いた一言が、なんだか深いなぁ、と思ったりして。

ガツンときたり、スーッと入ってきたり、彼ら・彼女らのアートが、自分の中でどう消化されるか。それを無防備に全部感じ取れれば、トリエンナーレは本当に楽しいと思う。

横浜でトリエンナーレが開かれるようになったのは2001年。今回で3回目。奈良美智がgrafと参加したり、毎回参加のオノ・ヨーコがいたり。日本では一番規模が大きいのでは?と思う。メイン会場の新港ピア会場、日本郵船海岸通倉庫、赤レンガ倉庫など全7カ所で行われているので、1800円の入場券が2日間有効というのは納得がいく。1日じゃ、無料シャトルバスを駆使しても回りきるのは大変だからね。

ミランダ・ジュライは第2の産道?のような、今までの人生から次に旅立つような細い道に、壁を造り言葉を並べていた。ランドマークタワーが見える運河沿いの公園には白いホースのリングドームがあり、そのランドマークプラザには「落っこちたら受け止めて」という飛び込み台に佇む少年のオブジェが。中西夏之は白と金と紅藤色のような「色」のハレーションを表し、ミケランジェロ・ピストレットは17枚並べた鏡を1枚だけ残して破壊していた。人形劇?で社会構造を表現したペドロ・レイエスも印象深い。クマとネズミの着ぐるみをきた2匹が宮殿で踊る?映像の外で、その着ぐるみがぐったり倒れて静かに「呼吸」しているペーター・フィッシュリ & ダヴィッド・ヴァイスの作品も良かった。

完成したばかりの公式ガイドブックは買わず、自分の感覚を信じて、ふと翌日かなにかに思い出す残像を楽しもうと思う。そんな風に思いつつ、会場を後にする頃、今朝降っていた雨は止み、うっすらと陽が沈み始めていた。

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