まずは、今回の展示会は、面白い試みである。
公式ホームページには、
「パリ、東京、大阪−それぞれ独自の文化を育んできた
3都市の美術館のコレクションが集結。
セーヌ川のほとりに建つパリ市立近代美術館、
皇居にほど近い東京国立近代美術館、
大阪市中心部に位置する大阪中之島美術館は
いずれも、大都市の美術館として、
豊かなモダンアートのコレクションを築いてきました。
本展覧会は、そんな3館のコレクションから
共通点のある作品でトリオを組み、構成するという、
これまでにないユニークな展示を試みます。」

これまでバラバラに存在したモノを集合させて展示することで見比べる。
そこから、1つ1つが違った顔を見せる。このコンセプトをどこまで具現化しているか。
金曜の夜に、ゆっくり見るのが最近は気に入っている。今回もゆっくり鑑賞した。

まずはコレクションのはじまり。人物をモチーフにしたトリオから。





佐伯祐三「郵便配達婦」(大阪)




ロベール・ドローネー「鏡台の前の裸婦(読書する女性)」(パリ)




安井曽太郎「金蓉」(東京)





■川のある都市風景のトリオ

アルベール・マルケ「雪のノートルダム大聖堂、パリ」(パリ)




小出楢重「街景」(大阪)




小泉癸巳男「昭和大東京百図絵」より」(東京)





■都市と人々

モーリス・ユトリロ「セヴェスト通り」(パリ)




長谷川利行「新宿風景」(東京)




河合新蔵「道頓堀」(大阪)





■加速する都市

フェリックス・デル・マルル「オルレアン駅のメトロ」(パリ)




川上涼花「鉄路」(東京)




ウンベルト・ボッチョーニ「街路の力」(大阪)





■広告とモダンガール

杉浦非水「東京三越呉服店 本店西館修築落成・新宿分店新築落成」(東京)




パブロ・ガルガーリョ「モンパルナスのキキ」(パリ)




早川良雄「第11回秋の秀彩会」(大阪)





■近代都市のアレゴリー

古賀春江「海」(東京)




池田遙邨「戦後の大阪」(大阪)





■都市のグラフィティ

フランソワ・デュフレーヌ「4点1組」(パリ)




佐伯祐三「ガス灯と広告」(東京)




ジャン=ミシェル・バスキア「無題」(大阪)





■夢と幻影

マルク・シャガール「夢」(パリ)




三岸好太郎「雲の上を飛ぶ蝶」(東京)




サルバドール・ダリ「幽霊と幻影」(大阪)





■現実と非現実のあわい

ヴィクトル・ブローネル「ペレル通り2番地2の出会い」(パリ)




ルネ・マグリット「レディ・メイドの花束」(大阪)




有元利夫「室内楽」(東京)





■まどろむ頭部

ジョルジョ・デ・キリコ「慰めのアンティゴネ」(パリ)




コンスタンティン・ブランクーシ「眠れるミューズ」(大阪)




イケムラレイコ「樹の愛」(東京)





■空想の庭

アンドレ・ボーシャン「果物棚」(大阪)




ラウル・デュフィ「家と庭」(パリ)




辻永「椿と仔山羊」(東京)





■モデルたちのパワー




アンリ・マティス「椅子にもたれるオダリスク」(パリ)




萬鉄五郎「裸体美人」(重要文化財)(東京)




アメデオ・モディリアーニ「髪をほどいた横たわる裸婦」(大阪)





■自画像

恩地孝四郎「自画像」(大阪)




シャイム・スーティン「グロテスク」(パリ)




丸木俊(赤松俊子)「自画像」(東京)





■こどもの肖像

藤田嗣治(レオナール・フジタ)「少女」(パリ)




岸田劉生「麗子肖像(麗子五歳之像)」(東京)




原勝四郎「少女像」(大阪)





■美の女神たち

ジャン・メッツァンジェ「青い鳥」(パリ)




藤田嗣治(レオナール・フジタ)「五人の裸婦」(東京)




マリー・ローランサン「プリンセス達」(大阪)





■人物とコンポジション

岡本更園「西鶴のお夏」(大阪)




マリア・ブランシャール「果物籠を持った女性」(パリ)




小倉遊亀「浴女 その一」(東京)





■機械と人間




フェルナン・レジェ「パイプを持つ男性」(パリ)




東郷青児「サルタンバンク」(東京)




エル・リシツキー「石版画集『太陽の征服』」(大阪)





■分解された体

レイモン・デュシャン=ヴィヨン「大きな馬」(大阪)




パブロ・ピカソ「男性の頭部」(パリ)




萬鉄五郎「もたれて立つ人」(東京)





■プリミティヴな線

パウル・クレー「黄色の中の思考」(東京)




カレル・アペル「村の上の動物たち」(パリ)




菅井汲「風の神」(大阪)





■有機的なフォルム

岡本太郎「コントルポアン」(東京)




ジャン・アルプ(ハンス・アルプ)「植物のトルソ」(大阪)




ジャン・アルプ(ハンス・アルプ)「5つの白い形と2つの黒い形の配置」(パリ)





■色彩の生命

マーク・ロスコ「ボトル・グリーンと深い赤」(大阪)




セルジュ・ポリアコフ「抽象のコンポジション」(パリ)




辰野登恵子「UNTITLED 95-9」(東京)





■差異と反復

草間彌生「No. H. Red」(東京)




中西夏之「紫・むらさき XIV」(大阪)




アンリ・ミショー「コンポジション」(パリ)





■軽やかな彫刻

アレクサンダー・カルダー「テーブルの下」(パリ)




ファウスト・メロッティ「対位法 no.3」(大阪)




北代省三「モビール ・ オブジェ (回転する面による構成)」(東京)





森村泰昌「肖像(カミーユ・ルラン)」(大阪)




奈良美智「In the Box」(東京)











■ガラクタとアート

菊畑茂久馬「ルーレット」(大阪)




アルマン (アルマン ・ フェルナンデス)「イリスの肖像」(パリ)




村山知義「コンストルクチオン」





畠山直哉
《「津波の木」 より 2019年10月6日 岩手県陸前高田市》





絵画あり彫刻有り、インスタレーションに動画。いろんな現代アートを、
テーマでくくって魅せるという展覧会は、おそらく企画書段階では
何度も出されたモノだろうことは容易に想像できるが、
それを実際に具現化してくれると、なるほど面白い。

作者の個性と芸術性に注目しがちなところで
「少女の肖像画」というテーマで絞ることで
まずは作品に目がいき、他の2つと比べてみることができる。

その後、近づいて、作者を見て、
え?という驚きや、なるほど確かにレオナール・フジタだな、
さすがは、この乳白色、すごい、と「その人のその作品」に帰結できる。

今まで、経験出来なかった見方ができて
面白かった。



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Trio: Modern Art Collections from Paris, Tokyo and Osaka
TRIO パリ・東京・大阪 モダンアート・コレクション

@東京国立近代美術館(東京)
2024年5月24日(金)