つくるビル 
京都市

京都の風呂敷問屋が所有していた築50年以上のビルを利用してアトリエにする。若手芸術家に場所を提供してそこから何かを生み出す。京都は五条。何かをつくる場としては適したところだ。個人的に、父親が京友禅の染め型をつくる職人で、家が「仕事場」だったので、何かができる場所というのはかなり興味深い。

オープンして一年強、唯一のカフェも定休日だった年の瀬(12月28日)に訪れたからか、かなり閑散としていた。本屋はこだわりのラインナップで、バロウズの裸のランチの単行本があった。私の息子(2歳)が気に入った自転車のサドル(ベンチ?)や廊下に並べられた絵画などなど。

なんとも言えない「空虚」が、とても「らしかった」。

このつくるビルに行って何かを買うというのは少ないかも知れない。何かを見て感じて満足する、ということも、アトリエの集合体である以上(カフェと書店は別)難しい。

が、バンコクで訪れたV64や上海のM50のように、
「ここ」から生まれたものをどこかで目にしたとき、
あ〜、あのときの、あの空虚・空間から出たのかと思えるはずだ。

そう思う自分を想像しながら、くんくんと嗅覚を鋭く、何もないところに目や耳を向けてみることこそ、ここの楽しみ方だ。

そして、それが面白いと思える可能性は、個人的に十分あると思う。

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