2008年9月23日(火)
5日目

サマルカンド



7時半に起床。
結構、快適な目覚めだ。入口すぐの、バカ広い、テレビはついてるけど、12ドルのこの部屋から、Sさんが使っている15ドルの部屋に移動するので、彼がチェックアウトする11時まで待つかどうか。

顔を洗い朝食へ。

朝食には、中国のウルムチに住んでいて、昨夜一緒に飲もうと約束していたおじさん(結局ライトアップを見に行ったので飲めなかったが)とSさん、京都人のNさんという男性、あと女性(いずれも昨日一緒に夕食を食べた人)がいて、砂糖をまぶしたおかゆ?のようなものとパンの朝食をとる。

今朝、ぼく以外の日本人は一気にチェックアウトする。朝食後、Sさんという名前だった記者の女性、SEのTさんという男性とアドレス交換をして最後、Sさんと別れた。チェックアウトが11時というこど、半袖しかない僕は暖かいうちに観光に出たく、とりあえず部屋を交換してもらうことだけをしっかり頼んで宿を出た。
宿で両替、1$=1370スム、30ドル分で41,100スム。レートはなかなかいい。

まずは気持ちのいい朝、レギスタンのドームがきれいだった。チケットをもらっていて使い回しもできるということだったが、Tさんは止められて「昨日のだろ」と言われたそうなので(このチケットは昨夜夕食を一緒した京大生の子にもらった)真面目に買う。6500スムだ。まぁ、それだけの価値はある。

まずレギスタン(砂地)という意味で、アフラシャブの丘からチンギス・ハーンの来襲で追われた人たちが砂地だったここを商業の中心にした。そして、ティムールの時代になるとバザールが、その孫・ウルグベクの時代にメドレセが建てられた。左右、そして正面、この光景は誰かが計画的に、美を計算しつくして造ったとしか思えない、世界でも有数の美しい広場だ。

左手、西側にウルグベク・メドレセがある。大きなアーチとミナレット、中に入ると例のごとく?土産物屋が並ぶが、このアーチの細工は細かくきれいだ。そして右側のシェルドル・メドレセ。シェルドルは「ライオンが描かれた」という意味らしく、左右の人面ライオンが印象的だ。そして正面、ひときわ大きなドームをもつティラカリ・メドレセはとにかくドームの天井裏が圧巻。礼拝堂となったそこは、3kgの金ぱくで装飾し、キラキラと光り輝いている。ビビハニム・モスクが廃墟となっており、サマルカンドの主要礼拝堂になったとか。ちなみに、ティラカリは金ぱくされたという意味。この3つのメドレセがコの字型に囲み、中心の広場には円形の板の間がある。そこに立ち、ぐるりと見渡す。青天の太陽は眩しく、これぞ!青きサマルカンドだ。

もちろん、それぞれのメドレセのアーチをくぐると、回廊になり、広場がある。このモザイク、そして青と緑青のバランス、レンガの薄茶色。素晴らしいの一言だ。そもそもチンギス・ハーンが襲ってくるずっと前、唐を出発した玄奘は、西域記の中で「異国の珍しい物品の多く集まり、土地は肥沃で農業はいきとどき、木々は鬱蒼、花、果物、良馬を多産」と記している。630年代のことだ。

そんな歴史あるサマルカンド、悠久という言葉がピッタリにも思える。

レギスタンを出て昨日ライトアップを見に行った同じ道を行く。ソフトクリームが今はおいしそうな気温だった。ルハバット廟のあるあたり、階段状になった坂道が非常にきれいだ。草刈りをする人たち。そう!ウズベキスタンはところどころで箒で掃き、ゴミを排除するきれいさがある。神秘主義のシェイヒ・ブルハヌッディン・サガルジを祀ったというルハバットは茶色のレンガがむき出しで、逆に目をひく。そこを通り、クリ・アミール廟へ。支配者の墓、クリ・アミール。ティムール一族が眠る霊廟だ。3800スム、フォトチャージ1500スム。内部はこれまた黄金。そしてシャンデリアが見事だ。フォトチャージを払っているとライトをつけてくれる。黒と白、大理石かな?の墓石が並ぶ。廟という廟でいつも思うのだが、落ち着いて眠れないだろうな…なんてね。残念ながらエントランスゲート?が工事中だった。と…ここでカメラのバッテリーがなくなってきた。やっぱり動画を取りまくるとしんどいな。ひとまず宿に帰ることにする。道すがら、レギスタンの横にあるチョルスーへいき、バザールだとばかり思っていたら、なんと美術館ではないか!チケット代1000スム。が、ここは結構よくて現代アートっぽい絵からサマルカンドの桜?を描いたものまで。数は少なく、絵画が斜めにつり下げられていたりするが…、なかなか楽しめた。全体的に淡い色で、そして柔らかいタッチで、そんな絵が多かったように思う。

宿に戻る前に、その砂地の裏道?路地裏のようなところを歩き、学校帰りの子供たちと出くわす。白壁の細く入り組んだ形は、ブハラと同じだ。煉瓦を3人がかりで放り投げてはキャッチして上に運ぶ様はすごいな、の一言。下水をほじくり返す工事?のところは鼻をさすにおいにやられた。そして午後1時頃、いったん宿へ。Sさんがチェックアウトして、ぼくの荷物は15ドルの2階の角部屋へ移動されていた。うん!なんとも落ち着くではないか。とても静かな広間から、鳥のさえずりが聞こえ、ミツバチの羽音がとてもうるさい。

カメラをチャージする間、そんな「静かな」部屋で日記を書いたり…。

カメラをチャージすると再び街へ。どうも、昨日あれだけいた日本人がぼく一人になったようだ。次に向かうは中央アジア最大という大きさを誇るビビハニム・モスク。タシケント通りを北上する。レンジをおいてパンにはさむ具を選んで「チン」してくれるホットドックのベンダーが多い。ニューヨークではよく食べてたなあ〜なんて、あれはもう10年前になるのか。ビビハニム・モスクが見えたとき、思わず「デカッ」と声が出た。これはモスク跡だ。が、まだまだその外観に威圧感というか、存在感を残している。でかすぎるのでカメラに収まらない。こういうとき、広角カメラが本当に欲しくなる。内部はさすがに“跡”だけあって修復のはしごや煉瓦などが散乱しているが、どでかいアーチとドームはやはりすごい。入場3800にフォトチャージ1500スム。鳩が飛び交い、巣でも作っているのではないかと思うほど。広場中央の木がなんともよかった。静かなのでしばらくぼ〜っとしていた。そんな気分に浸っていても「ニホンゴ、サマルカンド」と、ガイドブックやポストカードを売ってくるやつはいるのである。

ビビハニム・モスクを出て、シヤブ・バザールへ。昼過ぎのこの時間、人出も多く、とても活気があった。ピスタチオなどのナッツ類、果物に野菜など一度磨いてから並べられる商品はピカピカだ。パプリカなど、一つの作品?と思うほど。屋根付きの場を出ると、スザニや日用品、楕円形のスイカなど、民族衣装の女性たちが行き交い、量り売りで買い物をする市型はほんとになんというか、いい。パン?ナン?がおいしそうなので1つ買ってみるかと…オバサンたちの間を割って入ろうとしたが、くじけた。

バザールを抜けて、なだらかな坂道を下ると、シャーヒズィンダ廟群がある。坂道を登る形でティムールゆかりの人々の霊廟があり、聖地だとか。入場2800スム。そんなことより?いきなり始まる階段をはぁはぁいいながら登ると、ワオ!さっきみたビビハニム・モスクが遠景に見える。そして狭い道の両サイドにカラフルな外壁の廟が立ち並んでいるではないか。ここはすばらしかった。1つ1つが全部お墓、そして1つとして同じ内装がない。ここは誰々とう説明書きがあるが、正直よくわからず、とにかくその特異な光景を口をあけつつ眺めていた。

上へ上へ登り、小高い丘には墓石がずらりと並ぶ。そのてっぺんからサマルカンドの街を眺めた。都会だなという印象があたが、う〜ん、そうでもないかも。

腹がとにかく減った。レギスタン近く、昨日Sさんと行こうといって、ぜんぜん違うところへ入ってしまったレストラン、Labi Gorを目指す。シャーヒズィンダ病からタシケント通りを南下すると、途中何度もここでいいかな?という店もあったが、空腹に耐え、ラビ・ゴールまで行ってよかった。ここ、すごくうまい、のである。
野菜や羊肉?香草の入ったヌードルスープ(うどん)のラグマン3000スム、そして炭火で焼いて、肉汁がしばらく口の中に残るシャシリク(2種類あって、肉をミンチにして固めた?ものと、野菜と一緒に肉塊を串焼きにしたもの)がとにかくうまい。フレッシュオニオンがいい。それにコーラをつけて合計5000スム。最初パンも頼んだが、キャンセルした。店員は「いるって言ったじゃないか」と言ってたけど。この男性の店員、おじの子供が東京にいるらしく、自分が明日休みだからサマルカンドを案内して通訳してやろうと言ってくれた。が、彼の英語は、残念ながら拙いのである。すべて満足して会計を待つ間、野良キジ?をずっとみていた。そうだ、会計の時、8000スムといってから5000スムと言い直し、ウィンクされた。あれ?まけてもらったの?なにぶんメニューがないのでわからない。

それから宿近くのスーパーに行って宿に戻り、ビールを頼んだ。部屋で静かな夕刻、日記を書く。



淡い色で光をうけて

吸い込むように微笑む街だ

吸い込まれるように笑顔になって

ぼくはひとり サマルカンドの青を

見上げたりする



夕食。見事に一日たてば日本人はおらず、パキスタン人の新聞記者という男性と一緒に食べた。
ごはん……2ドルらしいが、まずい。

イスラマバードのテロのことを聞くと、いろいろ話してくれたが、くせのある英語でほとんど聞き取れず、ビールを買って部屋に戻った。歩きすぎたか?とても疲れている。

シャワーを浴びて、本を読みよみながら寝よう。そうそう、下痢かも…。ビールはまだ残っているけど、やめておこうかな。



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