WBC観戦
1塁側 指定席S 5,500円
左)西武2番手・岸投手 中央)試合前のノックを終えたイチロー選手 右)2回を投げ終えベンチに戻る日本代表2番手・ダルビッシュ投手
先発の岩隈が振りかぶる。ん?なんか異様だ。それがとてもいい。なんだろうと考えてみる。……静か、なのだ。緊張感か?いや、まだ本番ではない。本番を来週に控えた強化試合。その一球だ。が、異様だ。あ、鳴り物が、ないんだ。観客の多くが、振りかぶる岩隈の、構える大崎の、「次」の動きを見つめている。
メジャー観戦をしたとき、真っ先におもったことは、鳴り物の応援がなく、声援も拍手もスタンディングオベーションも、なんというか「人」であり、そこには「温度」があった。そういう感じがとてもいいと思っていた。それに近い雰囲気があった。それは何も、スターティングメンバーの発表が英語だったとか、「TAKE
ME OUT TO BALL PARK」が7回に流れたこととか、ではなく。日本代表のユニフォームを着て、ほぼ全員が1億円プレーヤーという看板揃いの「選手」が、ベンチから声を出し、一つになり……。野球観戦といえば阪神戦というぼくには、(阪神戦は阪神戦で当然めちゃくちゃおもしろいんだけど)新鮮であり、神聖だった。
先発の岩隈からダルビッシュ、田中……と繋がる豊富な投手陣。外野にはイチロー、福留、青木。強肩、俊足が揃う。キャッチャーは城島。内野手も日本を代表するメンバーに加え、岩村がセカンドで締める。なんてチームなんだ、と改めて思う。侍ジャパン?と呼ばれる彼らは、先週大阪で強化試合をした後、東京へくる新幹線の駅で大パニックになるほどの人気だったという。もちろんドームも。対戦相手が「西武」だというので、少々甘く見てでかけたぼくは、入場するための長蛇の列に叱咤された気がした。
代表を外れた西武の岸は、志願登板。一点はとられたものの、やっぱりすごいピッチャーだと感心したり。そもそも、岩隈が立ち、ダルビッシュが立ち、そして岸が出てくると、日本人選手のスタイルっていうのはどうなっているのだ?と思うほど、なんというかシュッとしていた。
試合に負けた日本代表チーム。課題は小技か。イチローの盗塁失敗、青木のホームタッチアウトなど、まだ強化試合だが、動いてかき回す試合展開を。そして2連覇を、と願いつつ最後のバッターアウトを見届けてドームを後にした。