ヨックモックミュージアム誕生の記念展。
ピカソの絵画ではなく陶器。晩年のコート・ダジュールでの生活を垣間見る
特別な展覧会。まるで小学生が作ったような作品の中に
実際に見ると、そんなレベルではないことを気付かせてくれる
これは行って、見ないと解らない展覧会だ。
まずは地下のフロアに降りて見る「日用品のかたちの変容」
「女性の頭部」「取手のある花瓶」「女性頭部」「円形の取手のある花瓶」
の連作。この4つの作品が並んで置かれると
おもわず、感嘆の声が漏れる。
特に、バランスの妙と輪になった腕に感動するのは「取手のある花瓶」
そして、一周回ってずっと顔がある「円形の・・・」の作品を見る。
ここで、ピカソのピカソたるパワーを飲み込み、
次の「白フクロウ」をみて、
優しい色、それはインドカリーのバターチキンカリーのような
そんな陶器の1つ1つに、完全に酔いしれる。
特別部屋に飾られた「踊り子と音楽家のいる大型の壺」は
こども用のワークシートにも特集される一品。
世代も性別も越えて、これを見て「思うこと」が様々だ。
この、懐の深さに脱帽する。
いろんな陶器を見る中で
ハッとするほどの作品
「女性頭部の三脚花瓶」をみる。
バランスの美、フォルムの美しさに加えて色が素晴らしい。
一方で、『「黒の顔」の食器セット』は理由のない良い、というコトバが浮かび
今回の中で個人的に一番好きな「ヴァローリス」の前には
数分感、ぼんやりと達すさみ、ササッと構図を写し取っている
自分に気付く。
「時代の激動」の中に生きたピカソは、ゲルニカを仕上げるが
その中で「女性闘牛士がいる大闘牛場」の線の数のすさまじさに目を奪われる。
二階に上がって、常設展に移動して、
「魚」の食器セットを見て、なんだか明るく愉快な気分になる。
54点の作品が3方面の壁にずらっと並ぶ最後のピカソは
動物、顔、魚に花に太陽。
どれも1つ1つが主張しながら
54のまとまりで統一的な圧倒感があるところが凄まじい。
最後はトン社のベントウッド ロッキングアームチェア
「ドンドロ591」にゆったり揺られて
館内を出る。
なんとも緩やかに、それでいて強烈な印象が残る展覧会だった。
(フライヤー裏面より)
1)ヴァローリス、2)お菓子、3)踊り子と音楽家のいる大型の壺、4)黒い顔セット
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Picasso's Magic Spreads Throughout the World
ピカソ:コート・ダジュールの生活
@ヨックモックミュージアム
2020年11月8日(日)