(スーパーよさこい2010にて)

よさこいの鼓動

夜さり来い。よさこい、よさこいと歌の終わりに囃子詞がつく土佐の民謡よさこい節。それにあわせて踊るよさこい祭り。今や発祥の地・高知を飛び出し、全国に広がっている。

21世紀。東京へやってきたよさこい祭りは実に多種多様になっている。ルールはどこかによさこい節が入っていることのみ。ロック調、レゲエ調、コスプレ集団か?とおもわれるアニメ調まで、音楽、リズム、衣装が本当に見ていて楽しい。「一世風靡セピアか?」というチームが多かったようにも思うが、なんとも個性的な祭りだといえる。何より、小さな子供からおじいちゃん、おばあちゃんまで、チームを編成する集団は、地域社会や大学、企業など、一緒になって、踊ったもの勝ちという雰囲気がこれでもかというほどほとばしっている。

共通して言えるのは鳴子の響きだ。ひらひら上半身を動かし、手で鳴子を響かせる。そして、足腰は低く、まるで大地を踏みしめるような力強さ。鼓動。大地を弾くリズムで全身からハッピーを爆発させるカーニバルに比べて、一歩一歩力強く、時には静かに、そして一気に激しくなるよさこいには、大地を震わせる鼓動を感じる。そんな踊りが、とてもホットだ。

自由度が高いとはいえ、はやり衣装は着物が多い。その着物姿の女性が激しく踊り出すところではグーッと突き上げるモノを感じてしまう。

隊列を組んで練り歩くストリートの踊りは、ステージにはない「動き」をより一層感じることができる。大音量の「囃子(リズム)」、ぴったりとあった振り付け、そして衣装。大きな旗をグルグル回す男衆も見物だ。音と踊りと色の三つが一体となり、とても重厚だ。

もともと四国は徳島にあった阿波踊りに鳴子を加えて楽器で音をつくったよさこいには、始まりから「新しいもの」という自由度があるような気がする。だからこそこれだけ全国的な広がりがあるのか。

とにもかくにも「土佐の高知の 播磨屋橋で 坊さんかんざし 買いよった (ヨサコイ ヨサコイ)」と聞くと、じんわり、そして無性にホットになれる。