氷の世界
井上陽水 (1973年発売)
あかずの踏切り / はじまり / 帰れない二人
チエちゃん / 氷の世界 /白い一日 / 自己嫌悪
心もよう / 待ちぼうけ / 桜三月散歩道
Fun /小春おばさん / おやすみ
踏みきりの向こうに住んでる「君」に会いに……
なのに『あかずの踏みきり』。夕焼けの町の匂い。
アルバムは、この少し切ないポップチューンで始まる。
日本で始めてミリオンを達成した大ヒットアルバム。
発売されたのはぼくが生まれる前の1973年。
そしてぼくが始めて聴いたのは中学1年の時。
『感謝知らずの女』がラジオなんかで流れていて
「なんだ、この歌は???」というのがきっかけ。
バラエティ番組に出演して張り上げるように
唄いあげていた『リバーサイドホテル』。
これでつながった、井上陽水というのか、と。
たまたま手にしたこのアルバム。
アルバムタイトルにもなっている『氷の世界』を聴いて
頭の中に浮かんだカラフルなイメージ。
無色透明な氷の世界。きっと無音。
キーンという張りつめた空気が耳たぶやなんかを
シュッと切ってしまうような、そんなイメージ。
そこに始まる第一声が、「窓の外ではリンゴ売り」。
モノクロな世界にリンゴの赤がぽっと浮かぶ。
と、、、「きっと誰かがふざけて、りんご売りのまねを
しているだけなんだろう」。リンゴの赤がスーッと消える。
陽水の歌には「色」がある、そして「匂い」がある。
と、ぼくは思う。そこが好き。
『チエちゃん』『待ちぼうけ』『心もよう』。名曲揃い。
「真っ白な陶磁器を飽きもせず眺める」『白い一日』........
「君がわるいのさ今日は、ひとりで恋なんかして」
なんとなくラララと明日に日記をつける感じでスキップ
しそうな『Fun』。
「もうみんな終わったのに…」「泣き笑いを続けている」
と『おやすみ』は唄う。
続くから、とりあえず、今日はおやすみ、と。
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