国宝、瑞龍寺。へと続く石畳の遊歩道
国宝であるこちらは、歴史は江戸に入ってから。ただ、何と言っても回廊でつないだ伽藍は、これぞ空間美とうなるほどのもの。
山門は、1階部分の和式と二階部分の唐式が融合した立派なもので、それをくぐって仏殿を正面にした光景が、実に見事。屋根付きで漆喰壁に障子をともなった回廊は、京都や奈良に来たような錯覚を覚える。
ここは、寺でありながら城の役割も持っていたとボランティアガイドさんから聞くと、より一層、そのなんとも言えない味に嘆息する。特に、屋根が鉛で出来ており、戦になれば鉄砲の弾にできるようにした、などなど。
そうとわかってもう一度眺めると、確かに、ドシッと重い印象の屋根に印象も変わってくる。場所柄、加賀藩や織田信長といった名前が出てくる中でも、ずいぶん未来の今になって、この伽藍に立っていると、心の底から落ち着ける空間が広がっているだけだ。
回廊を歩くと、禅堂があり、大きく座禅の文字。ここで、精神を無にしてもっと深く遠い世界へと自分を置きたくなる。ここに、このような空間があることに、国宝であることの意味を知る。