3分間の正義
ショーが始まる
開始のベルだ





ぼくは 
「正義なんて もって 3分だ」と
幼心に思っていた


制限時間内で 結果を出す ショー
決められた 台本通りの ショー


起承転結は一応あって
出来上がるストーリー


その分かりやすい善し悪し
完全なシナリオに
出来すぎのフィクション


決められた通り運べば
それがありえないことだと
理解しているのに


いつか ない交ぜになって


最近、現実に不満だ
だから、未来が不安だ
いっそ、過去にいって
つじつまをあわせ
リセットしたい





胸のブザーが
制限時間を知らせる


エンドロール
そして
次週予告
また 怪獣が街中を壊す
けど 最後は必殺技で


正義は勝つ



創られた敵・味方
造り上げられるカンタンな答え



3分じゃ倒せない敵が
実際問題、多すぎるよといって
ドリルを放り投げたのは もう随分まえだ



今は、
整理のつかない問題を
整理しようとして
受け入れるふりをして
違いが理解できずにいる





対岸に見えるのはきっと
対岸にしか咲かない花だ


だから
そこまで行って触れないと


ありきたりに苦悩して
あきらかに苦労して
手当たり次第に妥協するだけ


分かってる そんなこと







ぼくは3分間
息を止めて正義を眺める


体中の血液が悲鳴をあげ
脳内でカタカナのよく分からない成分が分泌されたら


どっち付かずの場所で安穏とするんだ


結局3分間
ぼくには正義が もたない
それが正義なのかも わからないまま



  
by Shogo Suzuki