気持ちのいいサクセスストーリーで、見終わった後にすっきりする作品。とにかく、食の映像が素晴らしい。劇場の大スクリーンで見ていると、赤ワインが飲みたくなった。冨永愛演じる食のインフルエンサーが、フルコースの皿とペアリングされたワインを傾けるたびに、あ〜、飲みたい、となる。パリという地、食というコンテンツ、そこに向かうシェフたちの姿。テレビドラマからの映画化なので、ドラマを見ていると深く理解できるシーンもあるが、おおむね、この映画だけ見ても、成り立つストーリー展開(あまり複雑な展開はない)。
もともと、パリでシェフをしていた尾花が、大失敗をして東京へ戻ってきて、早見倫子を女性初のミシュラン三ツ星シェフにするという目標のもと、グランメゾン東京を立ち上げる。すったもんだの末、見事に三ツ星を獲得してドラマは終わる。そこから、劇場公開日の前日にスペシャルドラマという形でグランメゾン東京の「その後」を描き、そこでも、このドラマ特有の最後のすっきり感を味わうことができた。
今度は、尾花が、日本人初のパリでの三ツ星シェフを目指す。ガラディナーでの失敗から始まる展開が、少々心配になったが、この映画は、日本人だけではなく、アジア人として、韓国のパティシエも登場し、暴力沙汰やシェフの孤立などを展開しながら、最高の素材をアジア人シェフが確保する難しさなどを描く。
とにかく、この映画のハイライトは、最後の最後、渾身のフルコースをふるまうシーンから。どの皿も画ぢからが強く、そこから怒涛のサクセス展開が心地いい。最後、尾花の師匠であり、店舗のオーナーはいう、「この料理は三ツ星には値しない」と。うなだれるグランメゾン・パリのメンバーに、「四つ星だよ」と。
スカッとして、劇場を後にした。
ミシュランにおける三ツ星の定義、「そのために旅行する価値のある卓越した料理」。
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グランメゾン・パリ
2024年(日本)
監督:塚原あゆ子
出演:木村拓哉、鈴木京香、オク・テギョン、
正門良規、玉森裕太、寛一郎、吉谷彩子、
中村アン、冨永愛、及川光博、沢村一樹 他