何もない大地 (モンゴル・南ゴビ)

(「グラス・ホッパー」より)

思いきり空気を吸ってもなくなる心配がない程の広がりと、無限≠ニいう感覚が浮かぶ。使い果たさぬように制限しながら自然の恵みを使い、これ以上壊さぬように規制して乗りこなす毎日。そんな事を強いられる日本の暮らしから抜け出した僕には新鮮な感覚だった。あり過ぎて縮こまった暮らしから、何もない分思い切り伸ばせる空間へ。僕らはいつからか「快適」という基準を重要視する中で、あれもこれも足してきた。そうして日本の街には、両手両足を伸ばすことのできる空間が少なくなった。思い切り伸ばす事のできるこの空間は、僕を自由にする。たとえ疲れ果てて倒れるまで走り回ったとしても、ぶつかったり、何かを避ける為に曲がったりする必要はない。

空を飛ぶ

もしかするとそれは、こんな感覚なのかも知れない。

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