ホームの雑踏も微か
雨上がりの重い午後
使い古した僕を抱いて
ベンチに一人腰掛ける
剥がれない古新聞と
飲みかけの缶コーヒー
スローモーションで流れてく枯葉
止まった時間に目を閉じる
ふと東に広がる空を見た
真っ白い空をただ見ていた
頬に風を感じながら
何もない真っ白い空を見た
工場の屋根から煙があがる
追いかけるように鐘がなる
ひとつずつ僕に戻り
電話のベルで席をたつ
歩きながらまた空を仰いだ
灰色の雲に覆われた白い空
遠くに透明な光が細く射すから
「これでいいんだ」と歩き続けた
真っ白い空と冷たい風
流れる今日と明日も
どこまでも続く空の下
いつかは晴れるから今は
「これでいいんだ」と歩き続けた
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