宮城リョータを主人公にして、兄ソータとの過去と、現在の山王工業高校戦とを描く。冒頭、ソータとリョータの1 on 1のシーンで、まずは映像美に驚かされる。

映画ならではの時間のいったりきったりと、暗喩と隠喩。宮城家を襲った父の死、そして沖縄の海。そこからリョータがどんな人生をたどってきたか。比べらる兄、バスケ、7番、そして、リストバンド。

湘南に転校してからも、リョータの日々には、ところどころボタンの掛け違いがあり、そこで出会った湘北バスケ部。亡くなった兄が、夢見ていた舞台に立つ。

強豪、山王との一戦。原作で天王山とも言える最高潮の試合を、リョータの目線から描いたのが、今回の作品だ。三井との一件、赤木の孤立。そして天才一年の流川、素人で努力家の桜木。原作やテレビアニメを見ていない息子にとっては、桜木が主人公だということすら、ピンとこない。そんな映画になっている。

冒頭の「静」から、一気にオープニング曲The Birthday(UNIVERSAL SIGMA) の「動」へと移る。とにかくかっこいい。画でも、音でも、非常に意図的に、そして効果的に使われる「静」と「動」が、この作品の価値をぐっと上げる。もちろん、感動があり、笑いもある。

見終わってみて、まず思うのは、なんてぎゅっと詰まった映画なんだ、ということ。そして、(原作を読んでいる方にはわかるが)最後の、流川と桜木がタッチを交わすシーン。隣で見ていた男性(おそらくはスラムダンクの世代)は、思わず、よしっ、とガッツポーズをとっていた。

あんな風にしゃれた演出で、タッチを交わしたのか。井上雄彦は、はじめから、あんな感じでのタッチを描こうとしていたのか。

声優がどうのから始まって、見る前からいろいろ言われていた映画スラムダンクだが、封を切れば、やはり圧倒的な世界観だった。もう一回、見に行くと思う。



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THE FIRST SLAM DUNK
2022年(日本)

原作・脚本・監督:井上雄彦
声優:仲村宗悟(宮城リョータ)、笠間 淳(三井 寿)、
   神尾晋一郎(流川 楓)、木村 昴(桜木花道)、
   三宅健太(赤木剛憲)他