漫画が原作で、アニメになって、テレビドラマでも放送されて。そのドラマと同時期に撮られていた映画。
なので、2時間ドラマ的映画だろうと思っていると、意外に!?おもしろかった、というのが正直なところ。
ちなみに、漫画も読んでいないし、テレビドラマも見ていない。原作漫画は大人気らしいが、この映画では監督が脚本を書いていると言うことで、飯塚監督作品として鑑賞した。
まず、これだけのキャストで、これだけのセット(河川敷の様子)を作り上げて、思い切ってストーリーを捨てて一貫したバカさを貫いた。そこに、この映画の価値があると、私は思う。
設定は、時間(昔と今)や空間(地球と金星、陸と水の中)という「軸」をいとも感嘆に超えて、交差して、入り乱れて「河川敷」と。
それも荒川の河川敷には、その昔、探検隊が洞窟を目指したような、扉を開いたらカッパがいる、という世界が想像出来うる設定。それがオモシロイ。
台詞回しもリズムよくて、基本はギャグマンガ原作なので、コメディであることに違いは無く。そこで「星」や「村長」「マリア」は安定してナイスキャラだ。
ハナガ サカサマニ スーパー サイテル ミタイダ。
金星人のニノは、2−3(にのさん)のジャージを着ていて、リクルートスーツにりくつっぽい「リク」とは借りを返すための恋人同士。金星の言葉で愛している。それは、リクを生んですぐに死んだ母親・・・。
父親から渡された、母親の形見だったスーパーボール。宝ものを無くしたリクの父親。そして、リクが見つけた「宝物」。
『宝物は大切なほど 失ったとき、それを忘れるのは、覚えるよりも難しい』
河川敷を国家プロジェクトで開発する一流企業と
河川敷で暮らす人たち。
この対決の構図は、映画の冒頭、リクが話している。
「神様にも引けない一線」
そんな線があるなら、それは
「その人にとって何が幸せで、何が幸せじゃないかという一線」
つまりそれがボーダーライン。
一流企業の御曹司と
不可思議な河川敷住民たち。
その一線を見つけるには
これまでの常識を振り払わなければならない。
ものすごくぶっ飛んだ設定で、不可思議で、ぐちゃぐちゃで、その中から見つけ出すボーダーライン。
友情というチープさ。
そして恋もする。さらには、息子が成長して父親に認められるというど直球のストーリー。
そのわかり易さがあるからこそ、カッパだの金星人だの鉄仮面などが、しっかりと活きてくる。
日本らしい、クールムービーだと思う。
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荒川アンダーザブリッジ
2012年(日本)
監督・脚本:飯塚健
原作:中村光
出演::林遣都、小栗旬、山田孝之、桐谷美玲、城田優、片瀬那奈、上川隆也ほか