ディズニーが描く東京?
サンフランシスコとトウキョウの融合した、仮想最先端都市「サンフランソウキョウ」で繰り広げられる兄弟愛、そして科学・化学の進化、その裏側にある恐怖、それに立ち向かうアメリカ的ヒーローモノ展開。

ディズニー映画には、
夢があり、色があり、展開があり、リズムに乗りながら、
笑いがあって、そこにどっぷり浸かるから故に「ベタ」な展開で、涙してしまう。

それらの要素をしっかりと受け継いだ、名作が
この「ベイマックス」だ。

トウキョウの下町、浅草あたりを駆け抜ける街の風景がとても身近で、黒髪の主人公ヒロを見ていると、ふとディズニー映画ではなく、ジブリかと勘違いしたり。

まぁ、「アナと雪の女王」が女の子向きなら、
この「ベイマックス」は男の子向け。

初めて、三歳になる息子と一緒に劇場に出かけた。笑うところでは笑い、リズムよく踊って手を叩くあたり、ディズニーの底力を改めて感じるというか。

さて映画。

始まる前の短編「愛犬とごちそう」も楽しめる。犬の視点から、ジャンクフード好きな飼い主がベジタリアンの彼女と出会い、別れ、そして家族を築いて子供ができて。言葉を超えた映像は、見ていてうなるほどの出来。

そして本編。天才少年ヒロが、兄タダシに助けられるロボットファイトのシーンから始まる。映画「ファイト・クラブ」のロボット版。小さいものが大きなモノを倒す爽快から始まる展開は、全体として、安定感を感じさせる。

大学に行って、化学オタクたちと出会うヒロ。同時に、タダシが作り出したケア・ロボット「ベイマックス」とも出会い。ヒロの開発したマイクロロボットの発表の場が火事になって兄が死んで。

物語が展開し始める。

その悲しみから立ち直れないヒロ。叔母もタダシの大学の友達も心配し。それでもヒロは「ひねくれた天才」らしく、誰も言葉も耳に入らず。

ベイマックス。その愛くるしいフォルムと淡々とした機械音の話口調。彼だけが、ヒロを助けることができた。

マイクロロボットを持って、敵の基地へ向かうまでの「浅草」と「サンフランシスコ」の合わさったような街並みは圧巻。本当に素晴らしい表現力、再現力、創造力だ。

敵が分かり、兄の死の真実を巡り、立ち向かうと決める。敵が決まれば元気になる。ベイマックスと出会い、劇的な展開に引き込まれるヒロと仲間達。展開がすごくわかりやすい。ベタだからこその安定感。

その単調ともいえる展開に、ひとつも飽きを感じないのは、展開される映像世界だ。かわいいベイマックスがヒロの手によってバージョンアップし、赤いモビルスーツのような姿に。そして飛び回る。

サンフランソウキョウを飛び回るベイマックスとヒロ。充電がなくなった云々は、もはや忘れられている。ゴールデンゲートブリッジ、サンフランシスコの坂道、路面電車、そこに東京タワーにわさびの看板。

なんだか、素晴らしい世界。

アメリカ人が見る「和」の世界であることは否めないが、それが「和」ではなく、ベイマックスのいる世界だと思えば違和感がない。

元気にするためのケア・ロボットに、元気にされ、笑わされ、泣かされて、またほっこりする映画の最後、なんとも後味のいい映画だ。



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ベイマックス
2014年(アメリカ)

監督:ドン・ホール、クリス・ウィリアムズ
制作:ロイ・コンリ
制作総指揮:ジョン・ラセター
脚本:ロバート・L・ベアード、ダニエル・ガーソン
音楽:ヘンリー・ジャックマン
声の出演:スコット・アツィット、ライアン・ポッター、T・J・ミラー、ジェイミー・チャン