「あ〜、マイケル・ジャクソンってこういう感じかな」
ウィリー・ウォンカ(ジョニー・デップ)が、チョコレート工場を子供たちに案内する姿をみて、なんとなく思った。まぁ、いいや。

ティム・バートンとジョニー・デップという黄金コンビ。『シザーハンズ』を見て「めちゃ、おもろい」と思ったのは中学生の時だったか。「理屈抜きで楽しいのがチョコさ」と言うチャーリーのセリフにも似て、ぼくは、この映画を見て、「理屈抜きの楽しさ」を感じた。

確かにストーリーが説教臭いとか、「問題児」とする設定がステレオタイプすぎるとか、わざわざ保護者1人を同行させて「子供がこうなったのは、親のせいなんだぞ」と言わんばかりの制裁とか。それも、子供向け娯楽映画だけあって、絶対に殺さない、とか。もっと言うなら、ティム・バートンらしい長〜い説明調のナレーションや、チャーリーが工場への招待状(ゴールデン・チケット)をゲットするまでのひっぱり過ぎなどなど、「どうやろ、、、」と思わせる点は多いが、工場の中に入ってしまえば、なかなかどうして、さすがの名作ではないかと感じさせる。特筆すべきは「テレビ・チョコレート」。2001年宇宙の旅のテーマに乗って近未来的なラボで作られる様は、完全に科学を超えた夢の工場だった。

「とびきり甘い人生」を送るウィリー・ウォンカは「こんなんあったらええのに」という想像を次々に具現化。滝でチョコを混ぜてふんわりさせる、なんてなかなか面白い。
ただ、ウィリー・ウォンカの過去のフラッシュ・バックが始まる辺りから、スピード感や飛び跳ねるような映画全体のリズムが停滞してしまうのが少し残念。

歯科医の父に反抗し「理屈なしの楽しさ」を求めてチョコの都、スイス・バイエルンへ。そして、世界一のチョコレート工場を築き上げたウォンカに足りないモノは・・・。アメリカやな〜と思う。“ペアレンツ”がうまく言えないウォンカに足りない「味」。チャーリーが工場の経営権を放棄してまで守った「味」。足りない味は「家族の愛」だった。チャンチャン、という終わり方。

普通なら、「はいはい」とフツーに見終わってる所だが、そんな結論に至っても「うん、うん」と大きくうなずける「特別な感じ」が醸し出されている。

煙突から大空へ。空中に飛び出したエレベーターに乗って、見ている側にも「突き抜けた」ような感覚を与えてくれるこの映画は、ダラダラとこねくり回して書いてきたが、一言で、「おもろい」。

何より【感覚】を大事にした映画なのだ。スクリーンいっぱいに広がるカラフルについつい顔がほころんで、箸が転ぶような仕掛けがある。それ、さえも「おもろい」。年頃のせいではない。きっと、それこそがこの映画の魅力なのだと思う。

言うまでもなく、その魅力に多大なる貢献をもたらすのが、ジム・キャリー演じる「マスク」なみの、ジョニー・デップの名演技であることは間違いない。




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チャーリーとチョコレート工場
CHARLIE AND THE CHOCOLATE FACTORY

2005年(アメリカ・イギリス)


監督:ティム・バートン
原作:ロアルド・ダール『チョコレート工場の秘密』
出演:ジョニー・デップ、フレディ・ハイモア、デヴィッド・ケリー他