見上げた桜
キレイ、呟いた少し寒い日
風は冷たく 通り過ぎる車はクラクション
ほんとキレイ、また呟いた春の午後
緑のフェンス沿い
歩く僕より遅い幸せ
追いつけないから まだ見えない?
右上から視界を横切る散り桜
桜は散るから美しい
よく聞くこの言葉をかみしめて
散ってゆく桜に「キレイ」 また呟いた
つぼみのままで 春になったよ
つぼみの僕は このままで
春を過ぎても咲く事はないのだろうか?
雨のように散り桜
流れるベビーピンクの風
目の前で 力強く流れる花びらに
明日の僕を重ねながら
散る前の桜が美しい、から、散る姿も美しい。
まだまだつぼみ。美しく散るために、
咲くのはこれから。まだまだ、これから。
緑のフェンス沿いに
うららかな春の午後
僕は見上げながら歩いている。