名前も知らない鳥が飛ぶ
おそらくは一般的な野鳥だろう

名前を持つ僕を多くは知らない
そう、普通一般のただの男だ

見上げるたびに遠くなる
空と雲の間を滑る鳥たち
ここから呼んでも、聞こえやしない

チェッ、どんどん高くなる。


僕は必死に背伸びした
高層ビルにのぼって屋上でジャンプした

だけど、まだまだ高くなる空

僕は、諦めた。



全部やったあとで寝ころがり
仰向けになって目を閉じた。

背中の汗がひんやり乾いていく


また見上げた空は

なんだか急に近い。

鼻のすぐ上を鳥が飛ぶ

きっと僕は宙に浮かび
浮かんだ僕は雲の上にいるんだ


軽くなった僕は、そこで深呼吸した。


フーッと吐き終えると
目が覚めた。

大きなあくびをして体を起こす。
なんだか、とても、軽くなってる。



  

かるみ

by Shogo Suzuki