君の名は………「好きだ」。
これじゃ、分からないよ。
東京発信カルチャーの王道、ジャパンクールの中心にいるアニメとはいえ、一般受けするのはジブリしかないのではないか、なんて思われていた所、全くの想定外、嬉しい計算外れで大ヒットとなったのが、この「君の名は。」。
ロングランだけではなく、劇場は公開三ヶ月を過ぎてもほぼ一杯という、リピーターから初心者まで合間見れて、素敵な空間を作ってくれる。それが、この映画の魅力だ。
個人的に、アニメを劇場でみた経験はない。今回が初めてだ。なぜ、この映画だけ見に行く気になったのか、と問われると、たまたま時間があり、行こうと意気投合する妻が居て、その妻は息子の幼稚園の繋がりで、この映画の評を聞き、行ってみたい(行ってもいい)と思い。映画「転校生」ばりに男女が入れ替わる話?というだけで、見に行ってもいい、とまで思わせる口コミ評。現代だからこそ生まれたヒット作品のように思う。
実際に、見てみて。「見に行ってもいい」なんてことを思っていただけで、恥ずかしい。これは、是非とも見たい!と思える名作で、それも、劇場でこそ感じられる「ツボ」が詰まっている。とはいえ、実際に、じゃ、何がよかった?と問われると、アニメーションがキレイ、とか、音楽がいい、とか。結局は、みんなが言う程度のことが頭に浮かぶが、そうじゃ、ないんだよな、と思ってしまう。つまりは、もちろんそれらは非常に大きな要素としてあるが、これは、トータルとして名作、画もいい、音楽もいい、話ももちろん、いい。だから良いのだ。
簡単に言えば、複雑な「ねじれ」の中に、田舎と都会という対照的な、男と女というこれまた対照的な主人公がいて。時間と空間がねじれる中で、夢と現実もねじれる。その行き来がからみあっている中をつなぐのが「結」であり、それを手がかりにいろんなモノが繋がる。
ザ・漫画!的な台詞はもちろん、なし。とはいえ、テンポのいい会話や、何も話さないときの描写は見事で、これが、ねじれのない世界で、普通に、夢うつつであるなら、どんなに楽しいだろう、と思わせたりもする。
そこに、宇宙規模の、天体ショー。一つの町を飲み込むほどの隕石落下に、全部がシャットダウンする。
どこまでを有りとして、なにからを無しにするか。君の名を問うてみて、名前「だけ」が思い出せない素敵な記憶を、つまりは素敵な音楽と、素敵な画で見せたかったのではないか。私は、シンプルに、そんな感想を持った。
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君の名は。
2016年(日本)
監督・脚本:新海誠
音楽:RADWIMPS
声の出演:神木髞V介、長澤まさみ、市原悦子ほか