匙
投げられた匙を踏んづけた夜。
諦められたモノ、ばかりかと
実現しなかった夢だらけかと
高層ビルの下で ぼくは、思ったりする。
それでもすくい取り
かき混ぜては調合して
特効薬的な何かを
この現在に効く妙薬を
探し求めている人はいるのだろうか。
そんな、気の良い馬鹿は
もういないのだろうか。
投げられた匙が頭に当たった。
今まで諦めていなかったのかと
なのに、諦めてしまったのかと
信号を待ちながら、悲しくなった。
アジテートするものが
簡単便利で使い捨てなら
あとは機械で
一から十まで創られる
悲しいけど、諦めが正解にも思える。
一から十まで
あとは先人の創り出した機械に任せて
そんな彼ら(機械)が、
オートマチックに整えていく……のか……
投げられた匙を拾って
それをぼくは、上に放り投げた。
誰かに当たればいいのにと、他人にあずけた。