スタンディングオベーションをしたくなった。これが見終わったときの感想。この映画がすごい、好き、面白い、となかなか声高に言えずに、まぁまぁ、とか、けっこう面白いよ、的に逃げてしまうことが多い中、私は、この映画は、かつて「ディナーラッシュ」を見たときのような衝撃を受けた作品だったといいたい。
映画は、接触する感覚と匂い以外の感覚に訴えることができるもので、音とか、声とか、映像とか、いろんなところから「攻められる」という点から行くと、ストーリーがベタだとかなんとか、そんなものは凌駕するほどの構成であって、細かい点までよくぞ描きだしたと関心もするのである。
MacとWindowsという違い、ウイルスチェックが成されていない期間が示す「時間」、母と娘と、父である自分。繋がっているようで、繋がっていなかった過去。どんどん明らかになる真実。
PCを通して、すべてが構成される。フェイスタイムで話し、メールやメッセージアプリで共有する。個人的には、キーボードを弾く音がすきなので、映画館で大音量で響くだけで心地よかったりする。
監督は、新進気鋭のインド系アメリカ人。すべてのソフトが「本物の名前」であることに、変に感動したりする。
さて、内容。行方不明になった一人娘を見つけ出そうと、Facebookや動画投稿サイトなどを手がかりに探っていく。そこで浮かび上がってくる娘の本当の姿。PC画面だけで描く警察官とのやりとり、SNS上での薄っぺらい娘と周りとの関係。そして、妻との思い出。テレビニュース画像や防犯カメラの映像という手法で、リアルな姿を見せない長編映画に、本当にブラボーだ。映画のスクリーンの中が、すべて、またまたスクリーンという不可式。
概要)妻に先立たれ、女子高生の娘マーゴットと2人暮らしのデビッド。ある日、勉強会に行ったはずのマーゴットが行方不明なことに気づく。警察に失踪届を出したデビッドは、担当刑事のヴィックとともに、マーゴットのパソコンにログインし、彼女の手がかりを求めてSNSを探り始める。するとそこには、デビッドの知らないもう一人のマーゴットの姿があった。動揺しつつも、さらにマーゴットを探っていくデビッドが辿り着いた湖という存在。そして、マーガットとの車。実弟を疑い、担当刑事に騙され、結局のところ、少々強引に進めた話を寄せ集めるようなネタ晴らしと真犯人の登場。
典型的ハッピーエンドだけに、内容よりも、むしろこの手法が、やっぱり大きく印象に残る。
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2018年(アメリカ)
監督:アニーシュ・チャガンティ
出演:ジョン・チョー、デブラ・メッシング、
ジョセフ・リー、ミシェル・ラーほか