側道に咲いた花
この花の名前をぼくは知らない
だから、勝手に名前をつけよう
この花は自分の名前なんか知らない
だから、勝手につけてもいいでしょう?
側道に咲いた花がひとつ
風に吹かれるまま揺られている
「仲間がいるなら呼んでおいで
一つずつ違う名前をつけてあげよう」
名前を付けた花が
今日は雨に濡れている
傘もささず
潔く濡れている
ぼくのことも好きに呼んでいいよ
きみはたぶんぼくの名前を知らない
名前のあるぼくじゃなくて
きみの呼ぶぼくでいたいから
傘もささず
ぼくも雨に濡れてみる
いつか晴れたら
思い切り太陽を浴びよう
それでいつか
枯れたくなったら
我慢しなくてもいいよ、ね?