吐露する
他人より遠くへ届けと蹴ったボール(v)拾いに行くのは結局わたしなんだと気づいた時からかな(v)思い切り蹴ることすらしなくなってしまったんだとこの年になってつくづく思っている(v)早く寝ろと言われる度にまだ寝たくないと思っていたころのことはもう忘れてしまって(v)今はとにかく一秒でも早く寝て一秒でも長く寝ていたいと思うようになった(v)朝顔も向日葵もチューリップもきれいはきれいだけど冬の(v)始まりの夕暮れの枯葉が無性に美しい(v)枯れるモノ同士手を組もうじゃないかと少しだけ元気にもなるからなんだかおかしくなってくる(v)おかしくてもか細く笑うわたしはもうワハハと大きな声で笑えないし原色に近い色もちかちかする(v)抗いもせず自分の正当性などもはやどうでもいいかなと思わなくもないわたしの色は(v)何十年前のことよりさっきの昼間の自分にあーあ(v)と残念に思うばかりの鈍り色だ(はぁ)街中にきらめく人の足音を聞いているようで聞いてもなく(v)見るようで見てもない世界情勢と株の値動き(v)三歩先は三歩前と同じ光景でたまごがさきかにわとりがさきかと落とし所だけを探す話を(v)だらだらただ繰り返すんだろうな明日も(v)いつも会議室でいつものメンバーでぐるぐるぐるぐる(v)決着のないあの話し合い(はぁ)見てからやるかやってからみるかの選択ならまずやってみて(v)転ばぬ先の杖をつきつつ先の坂道を上っていたのに(v)転びはしないだろうけど茨の坂道けもの道だと(v)嗚呼(はぁ)どこまでも行ってもそれは永久にずっと変わることはないんだと知った今のわたし(v)句読点もなく連鎖するおもいのたけを吐露する。