取っ手
取っ手の無いドアの前で
ぼくは腕組みして考える


とっても重いドアの向こう
聞こえるだけで 覗けない


楽しそうだな……
開かないかな……
無理だろうな……


取っ手は無い、だからぼくは
向こうも見ずにあきらめて
肩を落とし トボトボ帰る


「そんなことにも もう慣れた
ドアは重いし きっと開かない」


不可能な現実だけ
しっかり覚えて
呪文のように 丸暗記 丸暗記


取っ手の無いドアは多い
開く鍵を見つけても取っ手が……


結局、いつも取っ手がない。


取っ手のないドアの前
押しも叩きもせず ぼんやり突っ立って


まだやるの?と 呆れられるけど


とっても気になる ドアの向こう
絶対に行きたいと 思ってるんだ



  
by Shogo Suzuki