3分間の正義
ショーが始まる
開始のベルだ
*
ぼくは
「正義なんて もって 3分だ」と
幼心に思っていた
制限時間内で 結果を出す ショー
決められた 台本通りの ショー
起承転結は一応あって
出来上がるストーリー
その分かりやすい善し悪し
完全なシナリオに
出来すぎのフィクション
決められた通り運べば
それがありえないことだと
理解しているのに
いつか ない交ぜになって
最近、現実に不満だ
だから、未来が不安だ
いっそ、過去にいって
つじつまをあわせ
リセットしたい
*
胸のブザーが
制限時間を知らせる
エンドロール
そして
次週予告
また 怪獣が街中を壊す
けど 最後は必殺技で
正義は勝つ
創られた敵・味方
造り上げられるカンタンな答え
3分じゃ倒せない敵が
実際問題、多すぎるよといって
ドリルを放り投げたのは もう随分まえだ
今は、
整理のつかない問題を
整理しようとして
受け入れるふりをして
違いが理解できずにいる
*
対岸に見えるのはきっと
対岸にしか咲かない花だ
だから
そこまで行って触れないと
ありきたりに苦悩して
あきらかに苦労して
手当たり次第に妥協するだけ
分かってる そんなこと
*
ぼくは3分間
息を止めて正義を眺める
体中の血液が悲鳴をあげ
脳内でカタカナのよく分からない成分が分泌されたら
どっち付かずの場所で安穏とするんだ
結局3分間
ぼくには正義が もたない
それが正義なのかも わからないまま