スタートラインのないスタート
芽生えて。決めて。腹をくくって。始める。
スタート。
ダッシュする。誰よりも早く。もっと速く。
後ろにも前にも右にも左にも人、人、人。
ラッシュの中、猪突、猛進、一心、不乱。
競争している。そうやって生きている。
ラインの前。よーい、で構えて、どん、で走ったな。
どん、の前にフライングして、ずるいと言われたら、
分からないようにフライングするようになったな。
ずっと思ってた。
ぼくが走り出したい「時」と「どん」が合わないんだ、って。
ぼくは、ぼくの「どん」で走り出したいだけなんだ、って。
もう、ラインはない。
並ばなくてもいいし、待たなくてもかまわない。
いっ、せー、のーでっ、で始める
分かりやすさや甘えは、ないんだな。
ダッシュする。
疲れたけど。腹へったけど。雨だけど。クソ暑いけど。
ダッシュ、し続ける。
生きている。競い合っている。企んでは、裏切られて、
腹がたっても、腹は減って。何か食うためにはもっと速く。
ダッシュする。
スタートしたんだ。
自分で決めて。走り出したんだ。
ゴールテープは見えないけど
速い遅いで決まる競争じゃないけど
多様化した価値観で勝ち負けなんてぼやけるけど
勝ちたい。
だから、
今も走り続けている。