アパートメント
音がして
風が吹いたら
匂いがしました
見えない壁の向こうをうかがいながら
アパートメント
うまく力の抜けた状態を
目指しています
鐘がなって
烏が鳴いて
夕焼けこやけ
時間の壁を行ったり着たりして
一日がはやいと
繰り返しています
鼻歌を歌いながら
遠くを眺めています
烏、夕焼け、電線、薄紫、空
遠くのどこかに向かって
ぼくはここにいますと
そんな鼻歌を
細くつなぎながら
大きすぎない未来をわきまえて
ただ暗くなるのを
それに任せて
目を閉じます