ブレックファースト・ニューヨーク
ボイルしてベイク
エッグ&バターの溶けたブレッド
綺麗だな、とみとれる僕の「外」
スーツ姿の老若男女は 腕時計だ
朝のホッとするコーヒータイムも
街は 今朝も慌ただしい
ニュースペーパー スピードリーディング
メトロとバスとタクシーが次から次へと
ザワザワ コツコツ カチカチ
絶対定義の信号機だけだ
間延びしてレッド&グリーン
一斉に始める理由が 未だ解らない
ぼくは
ボイルしたエッグをブレイク
ソルトして頬張る
今 この時代を引っ張り上げてる
ロープが切れて急降下を始めたら
この窓の外は どんな醜態をみせるのか
ミクロな細胞レベルのウイルスに
一瞬にして破壊される悪夢が消せない
昨夜の事が随分遠く
浅い朝の光の中でぼやけている
そんな懸念が色を持ち
熱を帯びて先を尖らすなら
その先端が突き刺し貫通させる
ほんのわずかな一部が急所になるだろう
爽やかに朝の風が吹いた
残りのコーヒーを急いで流し込み
腕時計を睨んで男が駆け出して行った
今朝はまだ、朝食が旨い……けど。