見事に群青。
二人乗りの少年が走り去る
金網越しに 空が拡がった
輝く雑草は 真上へ伸び
シャンシャンと空気中で何かが弾ける
夏の午後 ある町の片隅で
ぼくは 寝転がっている
昨夜の彼女の あのむずかしい顔を思い出し
言いそびれた 大事な一言を悔やんでみては
目を閉じて音を聞く。
弾ける何かが消えてなくなる潔さに
そっと頷いてみたりして
ふーっと息を吹きかけて
散り散りになった雲が輪を描いた
真ん中に ぽっかりと残像
あの むずかしい顔の残像
見上げれば 群青の空だった
頭から心臓までスーッと下る爽快感
言いそびれた一言を 声に出してみる
本当はそんな言葉、不必要な気がして
自分で勝手に頭の中で
むずかしくしているだけのように思えて
また見上げて 指を鳴らした。
そうだ、きっとそうだ。
群青の空に黄金の光が交差する
パチンという音が鋭く空に伸びていった。