いっしょにいこう
十数えて、振り返る
君はまだそこに居るけど
あっちを向いていたから
僕は、百まで数えた
振り返ると もう君は居ない
舌打ちして 僕は缶を蹴った
放物線の向こう側
痛い、と君が怒った
居たのかと、僕が驚き
探してよと、君は言った
照れくさくなって
また数え始める……
僕は うつむいて
千まで数えようと 思った
千までいったら、今度こそ言う
途中で日が暮れて 暗くなって
気づくと
遠く満月の真ん中で
君は餅つきをしながら
笑ってた
遠く、届かない所で
笑ってた
満ちては欠け
時が流れ 君は消えた
君を見失った僕は
永遠に数えようと決めた
どこまでも永遠に
ただ、数えていこうと
何千何百何十まで
ほとんど無意識に
数だけ言って
風だけ吹いて
鐘がなった
ふと 目の前に 君が居た
いつの間にか
また、
君が居てくれた
もう待たない
「いっしょにいこう?」