殻の外から
半透明の 頑丈素材で 守られた 殻の中

不満にすらなっていない 不満を つぶやく

順風で 満帆笑顔の 安全エリアという

当たり前にある この奇跡に 気付くのは

しあわせが 停滞して 飽きを生み

そこから 抜け出して 躓いて 傷を負って

泣きそうになるほど 弱い自分に 直面してから

・・・・・・ 心底、思い知らされる


あの 生ぬるい日々を 思い出しながら

眠る前、ぼんやり 天井を 眺めているだけで

不安になり、恥ずかしいぐらいに さみしくなってはふと

帰ろうかな、と漏れだしてしまう

ひとり暮らし

みっともないぐらい すがりつく 殻の外から 殻の中

半透明で ちょっとだけ 見えていた リアルは

吹きさらしだと ヒリヒリ痛み ギシギシ蝕む

そんな事に いちいち 文句を言っても

ただ、風の中に 溶け込んでいくだけ 

・・・・・・・ とはいえ ノンストップ・リピート・デイズ


慣れが 慣れと くっ付いて 毎日に慣れ

文句が つぶやきの泡となって 消えてゆく

内側から 殻を突いて 不満だった事を思う

殻さえなければ 楽しいと 夢見た青春も思う

何でもできると 思っていた 何もできない無力

今の毎日と、あの頃の毎日

ふと、ひとり、比べてみて、なんだか、どうしようもない

殻の外にいて 今、思う

あの殻を ノックして 訪れることができる 未来を

あの殻が いつか劣化して 穴でもあいた時には

同じくらい 頑丈素材で 埋めてあげられる自分を

そんなことを 考えながら

眠る前に 見上げる天井が まだ、なんだかさみしい



  
by Shogo Suzuki