くもり夜空
月明かりを頼りに帰宅する紳士
星空に願い それに任せる淑女
夜の空の雲は
月も星も隠し
夜の空の雲は
曖昧に対比する
少年少女の如き落胆の夜
くもり夜空の下ではみな
むき出しで 嘆息する
帰れぬ紳士は一人で仰向けに
ふて寝の淑女も一人夢想する
夜の空の雲の
その暗さを恨み
夜の空の雲で
明日まで憂鬱だ
少年少女の頃の記憶が
頭の中で鮮やかに蘇り
複雑になって嘆息する
くもり夜空を見上げ……
狼にも天使にもなれない
ジレンマを掻きむしりつつ
同じ明日の 日の出を待とう