街の匂い
この街は
何かを磨り潰した
匂いがする

練られて粘り
そうして放つ類の匂い

24時間365日
変わり映えのない景色は
結局
潰されぐちゃぐちゃに
混在した跡なのだ

その上っ面にだけ
平穏で退屈な
僕らの毎日はある

満員電車から降りると
お腹が鳴った
溜息が出た
舌打ちをした

そうやって
通り過ぎる途中にも
潰された粒が
明日まで保たず
力尽きていく

僕と他人と大勢の人が
少しずつ潰した何か

この街は
そんな何かをすり潰した
匂いがする



  
by Shogo Suzuki