夏のチリリン
カラカラと音を立て
古い扇風機が回ります
商店街の店の軒先の
長い木の傾いた椅子の上
順番待ちの子供たちが
ぱたぱたとうちわで仰いで
白と青と赤で氷
かき氷の旗がゆっくり揺れます
若い店主がおばあさんの横で
尖った声を張り上げながら
ガリガリと氷を削り
カップの底から滴る水滴
年々酷になっていく暑さの中
いろんな光景が歪みます
笑い声と話し声が
ぐにゃりとうねり
風鈴だけが凛と鳴ります
朝から強い日差しの陰で
チリリン、と
今年も夏です