音を割って響く
言葉にならない声が
声にもならない音が
それは万国共通の響きで
喜怒哀楽を含んだ現実を
伝える
ちゃんと、伝わる
街全体で発する熱気と常軌が
逸してついには
狂い踊って酔いどれまびれん
すべてが
音を割ってがなりたてながら
響いてくる
悲しいんだ、と
苦しいんだ、と
憤っては無力で
だけど継続的で
仕方なく 仕方なく
かといって他になく
ガンガン響く音にあわせて
踊っている
狂っている
どうせなら、と
楽しもうとしている
一方でふと
とても静か
静寂の中の安泰
木の枝の影が白い壁に模様をつくって
それがやさしく風に揺れるような
そんな時間
割れた音が
耳の真ん中でそっとささやく
それをゆっくり取り込んで
ぼくは目を閉じては転がして
なるほど、と
理解できる
そしたら
リセットできる
だからぼくは
安泰と静寂を求めながら
音を割って響かせる
騒々しい現実に思い切りぶつかる
そうやって
安泰と静寂を得るのだ
その対比として。