時計回り
私は時計回りに
何かを追いかけている
何かに追われる代わりに
そうしている
絶対的な時間経過の中で
私は決定的に脆い
弾力の衰えた身体の表面を
凸凹とさせているのだ
時々、遠心力で飛び出す夢を見る
ふと、はみ出す快楽を愉しんだりする
だけど決まって
また規則正しく
私は時計回りに
追いかける振りをする
起きて寝るまで
決まった数だけ回転し
それに合わせて
食べたり電話したり走ったり
絶対的な社会構造の中で
誰もが従順に右回りだ
底力の絶えた身体の内部が
チクチクと痛んでいるのに
時々、崩れたピラミッドの夢を見る
ふと、支えるのを放棄してフラフラしたくなる
だけど決まって
また規則正しく
私は時計回りに
寝たら起きて向かってしまう
時計が回り 髪が伸び
時計が回り 伸びた髪を切る
それをずっと
繰り返しているし
きっと 繰り返していく