うまみ
口にふくんでは すぐ
吐き出してきた
色とか 匂いとか トラウマで
嫌いなモノを決めこみ
あと味がねばつく
甘くておいしい話ばかり
食べてきた
それでいいと思ってた
だけど違ったのは
結局、食糧不足で
なんだか異常気象で
細菌は無敵化し
過当競争の末に別れた層
どんどん狭まる行き先を鑑みて
ジャンプアップで上の層を目指すけど
甘くなく 緩くなく
苦く 辛く 耐えに耐え
窮屈になって
息が詰まった
あー、とか わー、とか
叫んだりして 騒いだりした
やっぱり不味くて
ペッ、と吐き出したいんだけど
四、五回は噛んでみる
何というか
噛まざるを得ない時代で
グーっと噛み潰して
キューっと腹をこわして
しみ出てくる苦み
にじみ出てくる塩辛さ
ハッと。
それが
クセになってることに気づいた
鏡の中の歪んだ自分の顔が
それも間違いじゃないと頷けた
正面から向き合って ぶつかって
噛みつぶして 出てくる
うまみ。
それを知って無抵抗になる
それを知って無色透明になる
だからといってまだ不味い
だけどきっと間違いじゃない
そのうまみをネタに
むかし話でも そのうち
するんだろうか・・・