僕の席
僕の席には名前がない


誰でも座れる
から
いつとられるか
いつかはとられるのか
いつまでも続きはしないだろうから


そんなことを考えては


向こうにむけて
細い糸を何度も投げている


何度も 
何度も
何度も


何かに引っ掛かって欲しいと
何かに引っ張って欲しいと



ツルンと滑って
また逃して
なかなか向こうにいけない


だからぼくは
今のところここに座っている


僕の座っている席には
僕の名前なんて書いていない


ふと
座らせてもらっているんだなと考えたら
嫌になる


僕はこの席に居て
座っているのに安心できず
だからといって
立ち上がることも出来ずに


ただ
細い糸をヒョンヒョンと
投げているだけなんだ、な



  
by Shogo Suzuki