ひゅうと鳴る
ズコッティ公園からの風
占拠して示す現実の冷たい風


見てたはずの見えなかった事実
聞こえてきた格差という切実な声


遙か遠くの見知らぬ人たちの
ただそこに居座って示す実際問題的な風が


ひゅう、と
ぼくの胸の中で小さく鳴った


簡単で直接的
短いメッセージで繋がる見知らぬ人の
知ってしまえば多い共通点を
一つのムーブメントにして拡がり続ける現象を


ぼくは何だか
ザワザワした気持ちで眺めていた


数をカネで買って勝手に増殖していくシステム
既得権益にしがみついて物事の善し悪しを後回す常
しゃぶりついた甘い蜜がいつまでも忘れられない上


抽象的なぼくの周りの出来事が
少しずつ具体化するに連れ


胸の中で びゅう、と渦を巻く
渦を巻いて 声に出したくなる


声に出して
動き出したくなった


どん。
と、
ぼくの身体の中で疼いた風


それに呼応して突き上げられた
ぼくの現実的な問題


ここにあるもの
確かにあるもの


一つひとつがどれも少しずつ変だ
何もかもが慣習としゃあないにかき消されている
変えるなら今 この風に乗って



ひゅう、と
なのに ぼくの口の中でため息が漏れた


ふう、と太陽もない曇り空を見上げて


風が、冷たすぎない、生温い風、が
ぼくの胸の中で ひゅ〜う と鳴った


そしてぼくは、何も出来ず
見えなかった事実を見ないふりをしたり



  
by Shogo Suzuki