滑走路
跳んでみたら、飛んだ。
走ってたんだ、と気づいた。
思い切り広げた両手
風をうける頬と額
吊り上がった目
今の勢い、なんだと思う。
ぼくは、雲を見ている。
その先に透ける、空を
どこまでも続く、空の向こうを
ぼくは見上げ、上昇する。
跳んでみるまで、怖かった。
飛べるはずない、と思ってた。
仮に飛べても、辿り着くことは
きっと無理だと諦めても、いた。
だけど、走ってたんだ。
ずっと助走しながら
跳ぶのを、
そのタイミングを、
その勇気を、
顔を上げる「今」を
助走しながら、考えていたんだ。
これまでの滑走路を見下ろし
これからの空を見上げている
この揚力に任せて
行けるところまで
昇ってやろうと、
飛んでいる。